牙(犬歯)ケアの必要性と目的

マイクロブタも他のブタやイノシシ同様に、雄を中心に2歳ごろから牙が外貌からも確認されるようになります。

特に下の牙は外に張り出すように伸びるため、お家で首を上下に振った際に家具や衣類等に引っ掛かり身動き出来なくなるケースもあります。また、ご家族の手や脚などを引っ搔き、裂傷を負わせるリスクもあり、お散歩やホテルでの預りに支障を来すことになります。

pignic careでは、ブタさんとご家族様の安寧な生活を維持出来るように、牙を人の歯科技術を用いて、切削、充填保護、研磨する牙ケアを開始しました。また、牙のケアに合わせて口腔内の点検、歯石のケアなども行います。

マイクロブタは雑食性でおやつも大好きです。歯石や歯周に絡んだ病気も発生しやすいため、口腔の点検やケアを積極的に行うことをお勧めします。

手術の流れ

pignic care 牙ケア

全身麻酔

鎮静(キシラジン)から吸入麻酔麻酔導入(イソフルラン)を行います。

pignic care 牙ケア

上下牙の位置を確認

上下牙の確認とイソジンによる消毒をします。

pignic care 牙ケア

局所麻酔

歯科用キシロカイン(リドカイン)による局所麻酔を行います。

pignic care 牙ケア

牙の切断

ダイヤモンドディスクを用いて歯冠部を切断します。

牙切断面の確認

切断面の歯髄(歯の神経)の状態を確認します。

pignic care 牙ケア

覆髄材、樹脂材料の充填

露出した歯髄は消毒後、MTAセメントで被覆します。その後歯科用樹脂材料(コンポジットレジン)を充填し封鎖します。

表面研磨による平滑化

牙周囲を研磨して滑沢化します。

pignic care 牙ケア

樹脂を光硬化

歯科用樹脂材料(コンポジットレジン)に紫外線を照射して硬化させます。

pignic care 牙ケア

表面研磨による平滑化

牙周囲を研磨して滑沢化します。

オーナー様の声

ぷーくん 男の子 2歳

pignic careに来る前に、何に悩んでいましたか?
ぷーが1歳半を過ぎたあたりから牙が大きく伸びてきました。牙が当たるためか、気がついたらぷーの口の中から出血していることがたびたびあって心配でした。
また、牙が気になって顔まわりのケアすることが難しく、何か良い方法はないかと悩んでいました。
pignic careを知ったきっかけは何ですか?
ぷーをお迎えしたpignicさんから直接教えていただきました。スタッフさんからのお話を通じてpignic careの存在を知り、牙の問題で困っているマイクロブタへの専門的な手術があることを知りました。
予約の決め手となったのは、何ですか?
送迎もしていただけることが大きなポイントでした。普段の生活でぷーを連れて病院に行くのはなかなか大変で、ケースなどを用意するのも一苦労でした。
pignic careでは送迎サービスがあることを知り、負担を最小限に抑えて手術を受けられると感じて、安心して予約することができました。
実際に手術を受けてみた感想を教えてください(受ける前と受けた後の違いなど)
出血がなくなり、口の中や顔まわりのケアもしやすくなりました。手術前は出血のことでぷーの健康状態が心配でしたが、手術を受けてからはその悩みが解消されました。ぷーが顔をぐいぐいしてくる時も牙が気にならなくなったので、普段のお手入れがとても楽になりました。
クリニックや獣医師の印象や獣医師からの術後の説明などはいかがでしたか?
送迎で全てお任せしていたため、獣医の先生とは直接お会いせずに手術をしていただきました。
なので、直接の印象は分かりませんが、手術の前後にLINEでぷーの写真を送っていただいたので安心できました。丁寧な対応に感謝しています。
手術を受けるにあたっては、pignicのスタッフさんからしっかりご説明いただけたことと、担当の先生がpignicのpigちゃんを診ている経験豊富な方だということで、安心してお任せできました。

マイクロブタの牙ケアに関するQ&A

監修:半田慶介(歯学博士)

犬の歯との違いについて教えてください
ブタさんの歯は犬の歯とは大きく異なり、どちらかというと人の歯と似ています。人間と同様に、虫歯や歯周病(歯槽膿漏)になることがあります。
半田慶介(歯学博士)
ブタさんの歯は伸びますか?
犬歯(牙)の部分が伸びてくる性質があります。
半田慶介(歯学博士)
犬歯や前歯は切る必要がありますか?
伸びてきていると感じたら処置をしてもらうことをおすすめいたします。
個体差がありますが1年半くらいから様子を見ていくことが好ましいです。
半田慶介(歯学博士)
飼い主の私が自分で牙を処理できますか?
ブタさんの歯は人と同じように神経があり、きちんとした処置が必要となりますので、オーナー様ご自身が牙切りを行うことはお勧め出来ません。無理な牙切等で神経が露出すると、細菌感染を起こし顎骨炎を発症するおそれがあります。
人と同じように適切な歯科処置をすることで、感染症のリスクも軽減されます。
半田慶介(歯学博士)
顎が出てくるように感じます
ブタさんの顎は横に長いため、加齢と共に奥歯がすり減るなかで下の歯(前歯)が出てきたように感じます。
前歯が尖ってきたら丸く歯科処置することをお勧めします。
半田慶介(歯学博士)
口臭を感じることがありますか?
ブタさんは口から胃まで真っ直ぐなため、口臭を感じることがあります。また、歯垢が貯まると口臭の原因になります。
犬歯の汚れが目立つ場合は奥歯も汚れています。定期的な歯科検診をお勧めいたします。
半田慶介(歯学博士)
自宅でできるケアや食事の注意点はありますか?
ブタさんは噛む力が強いため、歯磨きは難しく、歯ブラシ破損などの危険を伴います。代替の意味で繊維質の多い野菜(ブロッコリーの茎、キャベツの葉脈など)を与えると良いです。
なお、歯に停滞するもの(バナナなど)は注意が必要です。オヤツや飲み物で甘いものを摂った場合には、その後に繊維質の野菜で歯磨き効果を促すことが良いでしょう
半田慶介(歯学博士)
ブタさんの歯の生え変わりはいつ頃ですか?
個体差がありますが2歳くらいまでに乳歯が抜けます、その後は永久歯が生えます。
半田慶介(歯学博士)